川口の小学校で食物アレルギーの子、クラスで見守る

全国学校食育研究会の発表会で講演

「学校は子供を守り、育てるところ」学校給食に携わる教職員の全国団体「全国学校食育研究会」の研究発表会が東京都内であり、埼玉県川口市立芝富士小など川口市の取り組みが紹介されました。

同校の前校長で県学校食育研究会副会長さんは、アレルギーの子への対応についての経験を「学校で守る、クラスでも子供が情報を共有し、クラス全員でその子を守る態勢をつくった」と話された。

発表は副会長さんと、同校の養護教諭さんと同校栄養技師さんが行った。養護教諭は食物アレルギー対応の具体的内容、栄養技師さんは学校内で実る桃や梅、キウイ、米やヨモギなど、野菜や果物の世話やきに子供が参加し給食で食べるなどの食育の実践を報告をした。

副会長さんは2007年に初めて校長になって赴任した川口市立上青木小での体験を披露。新入学児童の一人が重度のアレルギーで、母親が「私の子は小学校に入学できるでしょうか」と相談に来た。「職員たちは『食物アレルギーって何?』という反応で、学校は無知から出発された」

養護教諭や栄養士らと、児童が主治医の診察を受ける場に一緒に行った副会長さんは「この時の主治医から直接受けた指導が大きな力になった。その子はいま中学2年生。最近、私たちに再会し、『ありがとう』と言ってくれた」と振り返られた。

副会長さんが芝富士小の校長だった14年11月に学校に情報が入った。「来春、アレルギーの子が8人入学する。うち1人が牛乳アレルギーで、腕などの皮膚に1滴ついただけでも発疹などの症状が出る」

学校医は「いじめの対象になり得る」としてアレルギーの子らの公表に反対したが、副会長さんらは「クラスの子らに教えて、全員でその子らを守る。教師も含めて学校全体でその子たちを守る態勢をつくろう」と方針を決め、保護者会でも了解を得られた。

1年生は2学級だが、重症の4人を1組、比較的軽い子4人を2組にした。給食は1組は担任を含め教師6人が一緒に教室で食べた。2組は担任を含めて2人にした。「担任を持たない先生に頼んで、快く引き受けて頂いた」とのこと。

今、その子らは3年生、アレルギーが原因のいじめはおきなかった。「クラスのみんなでその子を守るという事は、いじめではなく、むしろ優しさ、思いやりの心、命を大切にするということへつながったと思う」と副会長さんは振り返られた。

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