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有限会社吉村不動産

建築基準法4号特例変更

「4号特例」とは何か

従来、いわゆる「4号建築物」に対して「構造耐力関係規定等の審査・検査を省略できる」という手続的特例が認められてきました。具体的には、木造で2階建て以下、延べ面積500㎡以下などの条件を満たすものが該当し、都市計画区域外では建築確認申請そのものが不要となっていたケースもありました。
この制度により、戸建住宅や小規模な木造建築物については、設計者(=建築士)が設計・工事監理を行う場合に構造審査を省くことが可能で、比較的スムーズな建築確認・着工がなされてきました。

改正の背景・目的

今回の改正は主に次のような背景・目的によって行われています。

  • 住宅・建築物の「省エネ化」(炭素中立/脱炭素社会の実現)や断熱性能の向上に伴って、建物の構造が重量化・複雑化しており、従来の簡易審査制度では安全性を十分確保しづらくなってきた。
  • また、構造安全性、耐震性、耐風性などを含めた実体的安全性の確保がより重要視されており、手続の簡素化だけでなく、実質的な審査・検査の強化が求められている。
  • さらに、これまで一般に「審査省略」であったために設計・施工上のトラブル・欠陥住宅の温床となるとの指摘もあり、制度の適正化が図られたという側面もあります。

改正の主な内容(202541日施行)

(1)「4号建築物」の再分類

これまで「4号建築物」とされていた建築物が、改正後は以下のように再分類されます。

区分

条件

新2号建築物

木造2階建て、または延べ面積200㎡を超える木造建築物等

新3号建築物

木造平屋建てかつ延べ面積200㎡以下の建築物等

※都市計画区域等の内外・構造形式によって、更に細かな条件があります。

(2)審査・省略範囲の縮小

改正後は、これまで「4号特例」によって審査省略の対象となっていた多くの建物が、構造耐力関係規定等の審査・検査の対象となるようになります。特に「新2号建築物」は審査省略の対象から基本的に外れます。
逆に、審査省略の対象として残るものは「新3号建築物」だけという整理です。

(3)構造・省エネ関連の改正

  • 建物の重量増加(断熱材・設備搭載増)に起因して、必要壁量・柱径など構造基準の見直しが行われました。
  • また、建築物省エネ法との整合性から、省エネルギー基準への適合義務化・図書提出義務拡大が図られています。

実務・影響・対応のポイント

この改正がもたらす実務上の影響と、対応のためのポイントを整理します。

  • 一般の木造2階建て住宅(延床200㎡超など)は「新2号建築物」として、従来の「審査省略」対象から外れる可能性が高く、設計・確認申請・構造計算・図書提出などの負担が増えることが想定されます。
  • リフォーム・増築・改修工事の際にも、対象となる工事規模・構造変更内容によっては建築確認申請が必要となるケースが増えています。
  • これにより、コスト・期間が従来よりも増加する可能性があるため、施主・工務店・設計者は早めの設計検討・確認申請準備が重要です。
  • 不動産投資・中古住宅流通の観点でも、建築確認済証の有無・構造審査の有無が評価に影響を与えるため、取引や資産管理の際に留意が必要です。

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