蕨市他3市町で地域包括ケアのシステム検証

モデル事業1年経過実施中!

高齢者に住み慣れた地域で介護や医療を一体的に提供する「地域包括ケアシステム」、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を前にシステムの構築が急務とされている。

しかし、各市町村の取り組みはこれからで、埼玉県は蕨市他3市町を選んでモデル事業を実施している。18年度までに取り組み方法のモデルを確立し、他の市町村に順次広めていく予定とされている。

モデル事業を行っているのは、蕨市・羽生市・新座市の3市と川島町で公募で選ばれた。

4市町は昨年5月から18年度までに、①理学療法士などの専門職を入れた地域ケア会議で、高齢者の能力を最大限生かすケアプランを作成する「自立促進」②高齢者が身近な場所で気軽に運動できるよう、住民が運営する体操教室を立ち上げる「介護予防」③調理や清掃が困難な高齢者へのサービス提供体制を整備する「生活支援」の3事業に取り組み効果検証を行う。

県地域包括ケア課によると、3つの取り組みを総合的に支援する事業は、全国でも例がないという。

モデル4市町が1年間の成果を発表する報告会が、県民健康センターで2月に行われた。この取り組みを学ぼうと、県内市町村や地域包括支援センターの職員ら約240人が参加した。

川島町が本年度に取り組んだのは、「自立支援」「介護予防」の2つで、同町は高齢化率(全人口のうち65歳が占める割合)が30.56%で25年には36.7%に達する見込みのこと。同町では、理学療法士など専門職を含めた地域ケア会議を毎月開き、地域包括支援センターが作成した高齢者のケアプランの内容について協議している。

要支援2の1人暮らしの女性の場合は、腰と膝の痛みでかがめず、自宅の掃除が出来ない、そこで理学療法士から「必要な筋肉を付ければ腰痛などが軽減される」と、自宅でできる体操を提案され、ケアプランに反映された。女性は「自分でできそう」と体操に取り組んでいるとのこと。今後はケアプランを作成した対象者の数か月後の状況をみて、プランの再評価が必要になるという。

モデル自治体からは、取り組みをしていく中で課題も浮かび上がっており、川島町の場合栄養に関する訪問指導が不足している事が分かり、潜在栄養士の掘り起こしが必要になるという。

川島町健康福祉課は「不足していると分かったサービスを作っていかないと高齢化に追いつけない」と危機感を抱き、自立促進プランの考え方を町内に浸透させるため、今後は居宅介護支援の事業所などの説明とともに医療機関にも協力を依頼していくとのこと。

4市町で上がった成果や課題を速やかに共有し、県内に広げるのが目的とされている。

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