川口市保育所建設…住民中止求め市長に嘆願

埼玉県川口市が、市立認可保育所を近くの公園に移転する計画「朝日東保育所」「領家保育所」について、中止を求める近隣住民は「子供の遊び場を奪うのは許せない」と存続を訴え語気を強めている。

一方、待機児童の解消を急ぐ自治体にとっては、低コストの建設用地を短時間で探すことが大きな課題である。今後都市部では公有地の公園が候補地となるケースが増える可能性もある。

川口市の待機児童は今年4月1日現在で98人で、県内市町村でワースト2位で本年度に認可保育園を10カ所増やしており、来年度の「待機児童ゼロ」を目指している。

一方、調査で耐震性が不十分な保育所があることも判明し、市は現在耐震基準を満たしていない9ケ所の移転や建て替えを計画している。そのうち2ケ所の朝日東保育所と領家保育所は、それぞれ近くの公園を移転先に選んだ。

朝日東保育所は「朝日町児童遊園」に、領家保育所は「領家第5公園」内の一部に移転する。朝日保東保育所(移転後仮称「朝日西保育所」)が2018年4月、領家保育所は2020年4月開所予定になっており、川口市では市内の公園に保育所をつくるのは初めてのケースである。

朝日東保育所の移転については、近隣住民でつくる「建設中止を求める会」代表らが、現在地から約200M離れた別の公園内にあるテニスコートを提案した。しかし、川口市は「テニスコートは豪雨時、下水管からあふれた雨水や汚水がたまる構造になっている。コートをなくせば、周辺道路が冠水する恐れがある」として、移転先には適さないとの考えである。

川口市保育運営担当者は「認可保育所を安いコストで早急に造るには、公有地を優先に探すしかない」と指摘している。

保育所建設を巡っては、東京都杉並区も区有地の公園に認可保育所を造る計画を進め、近隣住民からの反発を招いた経緯があり、待機児童が多い場所と空き地の状況によっては、今後も公園に保育所を造るケースが出てくる可能性があり、都市部では、保育のニーズと子供の遊び場をめぐる難しいバランスが求められる事になる。

 

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